日本で外国人が働く際によく使われる「就労ビザ」という言葉。実は、日本の法律上「就労ビザ」という一つの在留資格が存在するわけではない。

日本では、外国人が日本で行う活動の内容に応じて「在留資格」が細かく分けられており、その中に、就労が認められている複数の在留資格が存在する。

出入国在留管理庁の分類では、教授、技術・人文知識・国際業務、経営・管理、特定技能、技能実習など、多数の在留資格で就労が認められている。

では、それぞれどのような仕事を対象としており、実際に日本には何人くらいの在留者がいるのだろうか。

この記事では、出入国在留管理庁・政府統計「在留外国人統計」の2025年12月末時点のデータを基に整理する。

日本の在留外国人数は400万人を突破

2025年12月末時点の日本の在留外国人数は、

4,125,395人

となり、初めて400万人を超えた。

前年末の3,768,977人から356,418人増加し、前年比では9.5%の増加となっている。

ただし、この412万人すべてが「就労ビザ」で滞在しているわけではない。

永住者、留学生、家族滞在、日本人の配偶者等なども含まれているためである。

就労を主目的とする在留資格だけを見ると、以下のようになる。

主な就労系在留資格と在留者数

在留資格2025年末の人数主な特徴
技術・人文知識・国際業務475,790人IT、技術職、事務・企画、貿易、翻訳など
技能実習456,618人技能移転を目的とする現行制度
特定技能390,296人人手不足分野で働く外国人向け制度
技能54,574人外国料理調理師など熟練技能職
経営・管理46,781人日本で事業を経営・管理する人
高度専門職32,953人高度人材ポイント制による専門人材
企業内転勤19,161人海外企業から日本拠点への転勤
介護15,891人介護福祉士としての介護業務
教育15,496人小中高校などでの教育活動
教授8,024人大学などでの教育・研究
宗教5,130人外国宗教団体から派遣される宗教活動家
興行2,853人俳優、歌手、スポーツ選手など
医療2,722人医師、歯科医師、看護師など
研究1,324人企業・研究機関などの研究者
芸術844人作曲家、画家、著述家など
報道197人外国報道機関の記者など
法律・会計業務181人外国法事務弁護士、公認会計士など

人数は出入国在留管理庁「在留外国人統計」2025年12月末現在による。

数字を見ると、日本の就労系在留資格は均等に利用されているわけではない。

特に人数が多いのが、

技術・人文知識・国際業務、技能実習、特定技能

の3種類である。

それぞれ30万~40万人規模となっており、現在の外国人就労制度の中心となっている。

技術・人文知識・国際業務 ― 約47.6万人

475,790人

一般に「技人国」と略される、日本を代表する専門職向け在留資格である。

対象となる仕事は非常に幅広い。

たとえば、

  • ITエンジニア
  • 機械・電気系技術者
  • 商品開発
  • 経理・財務
  • マーケティング
  • 貿易業務
  • 通訳・翻訳
  • デザイン
  • 海外営業

などが代表的である。

単純労働を目的とした在留資格ではなく、大学などで学んだ専門知識や一定の実務経験と、実際の仕事内容との関連性が重要になる。

在留期間には5年、3年、1年などがあるが、「合計で何年まで」という通算在留期間の上限はない。

条件を満たして更新許可を受け続ければ、長期にわたり日本で生活することが可能である。

技能実習 ― 約45.7万人

456,618人

技能実習制度は、外国人が日本で技能・技術・知識を習得し、それを母国などへ移転するという「国際貢献」を制度上の目的として設けられた。

製造業、建設、農業、食品加工など、幅広い職種で利用されてきた。

現行制度では、

技能実習1号

技能実習2号

技能実習3号

と段階的に移行し、条件を満たした場合の期間は最長でおおむね5年間となる。

一方、技能実習制度は現在、大きな転換期にある。

2027年4月1日から新しい**「育成就労制度」**が開始されることが決定しており、現行の技能実習制度は段階的に新制度へ移行する。

育成就労制度では、日本で3年間働きながら、原則として「特定技能1号」水準の人材へ育成することが制度目的となる。

特定技能 ― 約39万人

390,296人

特定技能は、日本国内で人材確保が難しい産業分野を対象として2019年に始まった制度である。

2025年末の内訳は、

特定技能1号:382,341人
特定技能2号:7,955人

となっている。

対象は、介護、製造、建設、農業、外食、宿泊、自動車整備などの特定産業分野である。

特定技能で特に重要なのが、1号と2号の違いである。

特定技能1号

一定の技能・日本語能力を持つ外国人を対象とする。

通算在留期間は原則5年以内

そのため、特定技能1号だけで無期限に日本に住み続けることはできない。

特定技能2号

1号よりも高い熟練技能を持つ人を対象とする。

こちらには通算在留期間の上限がない

条件を満たして更新を続けることができ、配偶者や子の帯同も一定の条件の下で可能になる。

同じ「特定技能」という名称でも、1号と2号では長期在留という点で大きな違いがある。

技能 ― 約5.5万人

54,574人

「技能」は「特定技能」と名称が似ているが、まったく別の在留資格である。

代表例は、

  • 外国料理の調理師
  • スポーツ指導者
  • 航空機の操縦者
  • 貴金属加工職人

など。

産業上の特殊な分野における「熟練した技能」を必要とする仕事が対象となる。

たとえば、外国料理店で長年経験を積んだ調理師などが典型例である。

在留期間の更新を続けることが可能であり、特定技能1号のような5年間の通算上限は設定されていない。

経営・管理 ― 約4.7万人

46,781人

日本で会社や店舗などの事業を経営したり、企業の管理業務に従事したりするための在留資格である。

一般的な会社員向けの在留資格ではなく、

「雇用されて働く側」ではなく「事業を経営・管理する側」

を対象としている点が特徴である。

事業の実体、事業所、事業規模などについて一定の要件が設けられている。

こちらも通算在留期間の上限はなく、事業が継続し、在留資格の要件を満たしていれば更新申請が可能である。

高度専門職 ― 約3.3万人

32,953人

高度な専門能力を持つ外国人を優遇するための在留資格である。

2025年末の内訳は、

  • 高度専門職1号イ:約2,842人
  • 高度専門職1号ロ:約23,108人
  • 高度専門職1号ハ:約4,971人
  • 高度専門職2号:約2,032人

となっている。

大きく分けると、

1号イ:高度学術研究活動
1号ロ:高度専門・技術活動
1号ハ:高度経営・管理活動

である。

学歴、職歴、年収、年齢、研究実績などをポイント化する「高度人材ポイント制」が利用される。

一定の条件を満たすと永住許可申請までに必要となる在留期間が短縮されるなど、通常の在留資格より優遇措置が多いことが特徴である。

高度専門職2号になると、在留期間そのものが無期限となる。

企業内転勤 ― 約1.9万人

19,161人

海外企業の社員が、日本にある本店・支店・関連会社などへ一定期間転勤する場合に利用される。

仕事内容は基本的に「技術・人文知識・国際業務」に相当する専門業務である。

違いは、海外拠点から日本拠点へ転勤するという企業グループ内の人事異動を前提としている点にある。

介護 ― 約1.6万人

15,891人

介護福祉士の資格を持つ外国人が、日本で介護または介護指導の仕事を行うための在留資格である。

「介護」という仕事をしている外国人全員がこの資格を持っているわけではない。

介護分野ではほかにも、

  • 特定技能
  • 技能実習
  • EPA

など複数の制度によって外国人材が働いている。

したがって、「介護」の15,891人は外国人介護職全体の人数ではなく、在留資格「介護」を持つ人だけの数字である。

教育と教授 ― 合計約2.4万人

教育

15,496人

主に小学校、中学校、高等学校、専修学校などで教育活動を行う外国人が対象となる。

外国語指導助手や外国語教師などが代表例である。

教授

8,024人

大学、大学院、高等専門学校などで研究・教育活動を行う教授、准教授、講師などが対象となる。

名称は似ているが、

大学など → 教授
小中高校など → 教育

という違いがある。

医療 ― 約2,700人

2,722人

日本の法律上の資格を持って医療業務に従事する外国人が対象となる。

医師、歯科医師、薬剤師、看護師などが代表例である。

対象となる資格が法律で定められているため、一般的な会社員向け在留資格とは性質が大きく異なる。

研究 ― 約1,300人

1,324人

日本の公的機関や民間企業などで研究業務に従事するための在留資格。

企業の研究所や各種研究機関などで働く研究者が代表例となる。

なお、大学で研究活動を行う場合には「教授」など、勤務先や活動内容によって別の在留資格になる場合がある。

興行 ― 約2,900人

2,853人

俳優、歌手、ダンサー、演奏家、プロスポーツ選手など、芸能・興行活動に従事する外国人を対象とする。

ほかの在留資格と比べ、30日、3か月、6か月など比較的短い在留期間が設定されるケースもある。

ただし、一回の在留期間が短いことと、通算在留期間に上限があることは別である。

必要な活動が継続している場合には更新が可能である。

芸術・宗教・報道

人数は比較的少ないが、独立した在留資格として存在している。

芸術

844人

作曲家、画家、彫刻家、著述家など、収入を伴う芸術活動を行う人を対象とする。

宗教

5,130人

外国の宗教団体から日本へ派遣され、布教などの宗教活動を行う人を対象とする。

報道

197人

外国の報道機関との契約に基づき、記者、カメラマンなどとして報道活動を行う人が対象となる。

法律・会計業務 ― 181人

就労系在留資格の中でも特に人数が少ない。

外国法事務弁護士、公認会計士など、法律上認められた資格を持つ専門家が対象となる。

名称のとおり、単なる企業の経理担当者を対象とする資格ではない。

一般企業の経理・財務担当者の場合は「技術・人文知識・国際業務」に該当するケースが多い。

「更新できる期間」と「日本にいられる総年数」は別

日本の在留資格を理解する際に重要なのが、

「1回に与えられる在留期間」と「通算在留期間の上限」は別物

という点である。

たとえば「技術・人文知識・国際業務」で在留期間が1年と指定された場合でも、「日本には1年間しか住めない」という意味ではない。

期限前に更新申請を行い、引き続き条件を満たしていると認められれば更新することができる。

教授、技術・人文知識・国際業務、経営・管理、技能、介護、医療など、多くの専門職系在留資格には通算在留期間の上限がない。

一方、代表的な例外が、

特定技能1号:原則通算5年以内

である。

技能実習も、現行制度では段階的な実習期間に上限が設けられている。

したがって、「在留カードに何年と書いてあるか」だけでは、長期間日本に滞在できる資格なのかどうかを判断することはできない。

「特定活動」は一つの就労ビザではない

2025年末には、

特定活動:125,286人

が在留している。

ただし、特定活動は一つの職業カテゴリーではない。

法務大臣が個別に指定する活動をまとめた在留資格で、

  • ワーキング・ホリデー
  • インターンシップ
  • 一部の家事使用人
  • 就職活動
  • 特定の政策的な受入れ制度

など、さまざまなケースが含まれる。

就労できる特定活動もあれば、就労範囲が限定されるもの、原則就労できないものもある。

そのため、通常の「就労ビザ人数」の表にそのまま加えるのは適切ではない。

「永住者」などは就労ビザではない

永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者は、一般的な意味での「就労ビザ」とは別のグループに分類される。

これらは職業を根拠に認められるのではなく、身分や地位に基づく在留資格だからである。

大きな特徴は、原則として就労する職種に制限がないこと。

専門職、飲食店、工場、販売、会社経営など、在留資格による職種制限を基本的に受けない。

これから大きく変わる技能実習制度

現在の外国人就労制度を理解するうえで、2027年は大きな節目になる。

政府は技能実習制度を発展的に解消し、**2027年4月1日から「育成就労制度」**を開始する。

新制度は従来の「技能移転による国際貢献」という技能実習制度とは異なり、

日本の人手不足分野で人材を育成・確保すること

を制度目的として明確に位置付けている。

原則3年間の就労を通じ、特定技能1号の水準まで人材を育成する仕組みになる。

そのため、将来的には、

育成就労 → 特定技能1号 → 特定技能2号

という流れが、日本の外国人技能人材政策の重要なルートの一つになると考えられる。

まとめ

日本で一般に「就労ビザ」と呼ばれているものは、実際には多数の在留資格から構成されている。

2025年末時点では、特に人数が多いのが、

技術・人文知識・国際業務:約47.6万人
技能実習:約45.7万人
特定技能:約39.0万人

の3種類である。

一方で、経営者向けの「経営・管理」、高度人材向けの「高度専門職」、外国料理調理師などを対象とする「技能」、介護福祉士向けの「介護」など、それぞれの職業や活動に対応した制度が存在する。

また、長期在留を考える場合には、単に一回の在留期間を見るのではなく、

「その在留資格に通算在留期間の上限があるか」

を確認することが重要になる。

多くの専門職系在留資格は条件を満たす限り更新を続けることができるが、特定技能1号などには明確な通算上限が設定されている。

日本の外国人就労制度は一つの「外国人労働者ビザ」で構成されているのではなく、専門性、技能水準、仕事内容、受入れ目的に応じて細かく設計された複数の在留資格の集合体なのである。

参考資料

  • 出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」
  • 政府統計の総合窓口 e-Stat「在留外国人統計 国籍・地域別 在留資格別 在留外国人」(2025年12月末、2026年7月10日更新)
  • 出入国在留管理庁「在留資格から探す」
  • 出入国在留管理庁「在留資格一覧表」
  • 出入国在留管理庁「特定技能制度・通算在留期間」
  • 出入国在留管理庁「育成就労制度の制度概要・関係法令」

※人数は原則として2025年12月31日時点。統計上、「外交」「公用」は通常の中長期在留者とは異なる扱いとなるため、本記事の主要な就労系在留資格の人数表からは除外している。

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